状況調査のおすすめ

 ●マイホームの購入
  新築でも中古住宅でも大きな買い物です。後々定期的なメンテナンスも必要になります。
  購入後の想定外の出費を極力抑え安心して暮らせるよう、購入前にしっかり調査を行い、
  建物のコンディションを把握したうえでのお取引きをおすすめします。

基 礎

1981年に耐震基準が大幅に改正され「新耐震基準」となり、その年代から木造住宅のコンクリート基礎にも
鉄筋を入れることが広まりだしました。 2000年の改正で、鉄筋コンクリート基礎がしっかり法制化されるなど
して、流通する住宅の基礎も時代とともに強化されてきました。
乾燥収縮や膨張が原因のヘアークラックは支障ありませんが、鉄筋コンクリート基礎に幅0.5㎜以上のひび割れ
が生じるとその部分から水分等が浸入し、鉄筋の腐食を発生させる要因となるので注意が必要です。
さらに大きなひび割れが生じている場合は、建物全体の変形傾斜のサインかもしれません。
基礎は構造耐力上の要です。著しいひび割れや劣化事象は見過ごさず調査しましょう。

傾 斜1
 不同沈下

調査方法基準では床は3m程度、柱や内壁は2m程度以上離れて、6/1000以上の傾斜の有無について調査
するものと定められています。傾斜といっても様々なケースがあり大きく分けますと
 (1)床など、その部分のみ傾いている
 (2)建物の上部が全体的に傾いている
 (3)不同沈下により、基礎から傾いている
(1) はその部分のみの修理で対応可能な場合が多く、また建物内部の傾斜測定で把握できます。
(2) は傾斜の度合いにより構造上深刻なダメージをおっている場合もあり、大がかりな復旧・補強工事が必要
  になることがあります。また建物内部の傾斜測定で把握可能です。


(3) は液状化現象が発生した地域で多く見られた一体傾斜(基礎等のひび割れや建物の変形がほとんどない)と
  切土と盛土で造成された宅地で多く見られる変形傾斜(基礎等がひび割れ建物が変形し傾斜している)
  に大別され、傾斜の度合いによりどちらも地盤や基礎・土台からの修復工事が必要となり、高額な費用が
  かかります。また把握するには不同沈下調査が必要となり、6/1000未満であっても 2.5/1000を
  超える傾斜が確認された場合には注意が必要です。
  日本建築学会の資料等では、不同沈下の設計目標(参考値)として
           傾斜角(一体傾斜)  3/1000以下
           変形角(変形傾斜)2.5/1000以下
  とあるように変形傾斜は建物に与える影響が大きく、基礎の一部が沈下しその向こう側の屋根に浮き上がり
  が生じたケースもあり、角度のみでなく沈下量(何cm?)での検討と小屋組や屋根など建物全体の調査が
  必要です。


入居後に家具の配置を行っていて傾斜に気付いた、とならぬよう購入前にしっかり調査しましょう。

傾 斜2
 測定機器 

お手軽に測定できる機器といえば「デジタル傾斜計」です。しかし、必ず使用前の精度確認・校正が必要になり
ます。1軸でしか校正できない機種や、2~3℃気温が変化すると校正が必要になる機種もあったり、機器の長さ
が短いため数多くの測定値が必要だったり、精度を保った調査を行うにはけっこう手間がかかるものです。
便利さと精度のバランスでいえばやはり「レーザーレベル」だと思います。一流メーカーの機種は少々お高い
ですが、しっかりとした品質・精度で安心です。しかしどのような機種でも精度は徐々に低下していきます。
大切なのは保証のあるメーカーの機種をえらび、下げ振りや水盛管などで定期的に精度点検を行うことです。
デジタル傾斜計は使用前の精度確認・校正、レーザーレベルは定期的な精度点検を行いましょう。

小屋裏
 床 下

まずは点検口等から覗き全体的な状況(換気状況や湿気も)をよく観察し、次に各箇所を丁寧に目視調査しま
す。一見状態よく見えても経年的な寸法変化やたわみで、接合部に不具合がないかなど注意深く調査すること
が重要です。
木材の乾燥収縮による割れは支障ありませんが、接合部の著しい割れ・接合金物や溶接部(鉄骨造の場合)の
腐食・雨漏り跡・腐朽・蟻害等がないかもよくよく観察し調査します。
その部分のみだけではなく、屋根・外壁・室内の構造や状況ともリンクして調査しましょう。

雨水浸入
 腐  朽

雨漏りは、台風などでの外部破損が原因であれば火災保険で対応できますが(罹災時の所有者にお支払い)、
経年劣化などが原因の雨漏りは、自費で修理しなくてはなりません。
屋根のひび割れや谷部のずれ・水切り金物の不具合等に気付かずに「下地材や構造材まで腐っていた」
外壁のシーリング材の破断等を放置し内部が長期間濡れてしまい「壁材自体が変形したり柱が腐っていた」
などの重大な拡大損害をもたらすケースも多々あります。
雨水の浸入を防止する部分の不具合は、そのままにしておくと主要部材・構造体をも弱らせ多大な修繕費用が
後々に必要となります。
屋根等しっかり調査を行い、不具合があれば早めに対処し大きな出費を極力抑えましょう。

シロアリ

西日本で甚大な被害をもたらす獰猛なイエシロアリ、日本中を広範囲に襲うヤマトシロアリ、この2種類が
長崎県や佐賀県では多く見つかります。光や乾燥を嫌いますので蟻道(餌場へ向かうトンネル)を作り活動
します。この蟻道や蟻土・食痕などの有無の目視調査と、木部の打診を行い調査します。
近年、乾燥した木材に巣を作り蟻道を作らない“乾材シロアリ”の被害も増加していて、粒状の糞の発見と木部
の打診が調査のポイントです。
床下や小屋裏だけではなく、建物外部・居室内にも注意をはらい調査しましょう。

給排水管
 雨 ど い

給排水管の調査はまず元栓を全開し、水道メーターを確認したのち、各水栓を全開にして排水がスムーズか、
赤水が出ていないか、漏水していないか等を一つひとつ調査し、最後にまた水道メーターの動きを確認します。
竪どいは目視で破損等がないか、軒どいは高所でもあり逆光になりがちで目視だけでは詳細な調査が難しいため
高所カメラを使用し上部からも調査します。
入居後すぐに給排水管の水漏れや詰まりで修理が必要だった、雨の日になって初めて樋の破損に気付き
 交換費用と足場費用が必要になった、など予想外の出費を少なくするためにも調査しておきましょう。